陶芸の材料費、ぶっちゃけいくら?初心者のためのリアルな目安

「陶芸って、なんだか敷居が高そう…」「土をこねて器を作るなんて素敵だけど、材料費とか結構かかるんじゃないの?」

 

まさに、これから陶芸を始めようか迷っているあなたが、今まさに抱えている不安だと思います。わかります、私もそうでしたから。あの、なんとも言えない高尚なイメージ、ありますよね。

 

でも、安心してください!結論から先に言ってしまうと、陶芸の材料費は、あなたの「やり方」次第で月々数千円のお小遣いレベルから、ドーンと大きな投資まで、本当にピンからキリまであるんです。

 

この記事を読めば、「ああ、私ならこのくらいの予算で、こんな風に始められそう!」という具体的なイメージがバッチリつかめます。陶芸教室に通うべきか、それともいきなり自宅で始めるか。粘土や道具は何を揃えればいいのか。そして、私が実際にやらかした「うわー、これ買わなきゃよかった…」というリアルな失敗談まで、全部ぶっちゃけます。

 

この記事は、ただの費用解説ではありません。あなたの「陶芸やってみたい!」という気持ちを、具体的な「よし、やってみよう!」に変えるための、私からの熱いエールです。読み終わる頃には、きっと土を触りたくてウズウズしているはずですよ!

陶芸の材料費は「どこまでやるか」で全く変わるという事実

 

まず、一番大事なことからお伝えしますね。陶芸にかかる費用は、あなたが陶芸とどう付き合っていきたいか、そのスタイルによって天と地ほど変わってきます。いきなりプロを目指す人と、週末の趣味として楽しみたい人では、必要なものも、かけるべきお金も全然違う。当たり前ですよね。だから、まずは「自分はどのスタイルかな?」と想像しながら読んでみてください。それが、あなたにとっての「材料費の目安」を知る一番の近道なんです。

まずは陶芸教室か自宅か それが運命の分かれ道

陶芸を始めるにあたって、最初に決めなければならない最大の選択。それが、「陶芸教室に通うか」「自宅で始めるか」です。これはもう、今後のあなたの陶芸ライフを左右する、まさに運命の分かれ道と言っても過言ではありません。

 

まず、陶芸教室のメリット。なんといっても最大の魅力は、初期投資がほとんどかからないこと!粘土も、道具も、釉薬も、そして何より高価な「窯」も、全部教室が用意してくれています。あなたは月謝(都心なら月1万円〜2万円くらいが相場かな?)を払うだけで、手ぶらで行って陶芸の世界にどっぷり浸れるんです。最高じゃないですか?

 

それに、先生が手取り足取り教えてくれる安心感は絶大です。私が最初にぶち当たった壁は「土殺し(どごろし)」っていう、粘土の空気を抜く作業なんですけど、これがまあ、できない!何度やっても粘土がぐにゃぐにゃになって、「私、才能ないかも…」って初日で心が折れかけました。でも、先生が「大丈夫、最初はみんなそうだよ。もっと腰を入れて!」なんて言いながら手本を見せてくれて、なんとか乗り越えられたんですよね。こういう経験は、教室ならではの宝物です。

 

ただ、デメリットもあります。月謝が毎月かかること、そして決められた時間にしか作業できないこと。作りたいものが浮かんでも、「ああ、次の教室は来週か…」なんてことも。あと、これは私の個人的な体験ですが、隣の席のおしゃべり好きなおばさまと仲良くなりすぎて、粘土をこねる時間よりお茶を飲む時間のほうが長くなったり…(笑)。それはそれで楽しかったんですけどね!
一方、自宅で始める場合。メリットは、圧倒的な自由!いつでも、好きなだけ、心ゆくまで土と向き合えます。夜中に突然「神がかったデザインが降りてきた!」なんて時も、すぐに作業に取りかかれる。これはもう、何物にも代えがたい魅力です。

 

でも、その自由と引き換えに、すべてを自分で用意しなければなりません。そう、初期投資がかかるんです。道具を揃え、粘土を買い、そして最大の難関である「焼成」をどうするか考えなければいけない。これが自宅陶芸の大きなハードルです。孤独な作業でもあるので、モチベーションを保つのも自分次第。YouTubeの陶芸動画が唯一の先生、なんてこともザラにあります。

 

どちらが良い悪い、という話ではありません。まずは体験教室に行ってみて、雰囲気を味わってから決めるのが一番のおすすめ。そこで「もっとじっくり、自分の世界に没頭したい!」と感じたら自宅陶芸の道を、「みんなでワイワイやるのが楽しい!」と思ったら教室通いを続ける、という感じで、自分の心に正直になるのが一番失敗しない方法だと思いますよ。

自宅でガッツリやるなら初期投資は覚悟して でも後悔はさせないよ

もし、あなたが「私は自宅で、誰にも邪魔されず、自分の城を築くんだ!」と決意したなら、私は全力でその背中を押したいです。素晴らしい覚悟だと思います!でも、ちょっとだけ現実的な話をさせてください。そう、お金の話です。

 

自宅で陶芸をやる、となると、最低限の道具だけでは済みません。作業スペースの確保、粘土の保管場所、乾燥させる棚、そして作品を洗うための水回り…。考え出すと、意外と大掛かりな準備が必要になります。賃貸アパートの小さな一室で始めるのは、正直なところ、かなりハードルが高いと言わざるを得ません。粘土の粉末は想像以上に舞い上がりますし、床や壁が土だらけになる覚悟も必要です。ええ、私はやりました。掃除が本当に大変でした…。

 

そして、多くの人が憧れる「電動ろくろ」。これがあるだけで、一気に「アトリエ感」が増しますよね。価格は、安いものでも10万円前後、本格的なものになると30万円、50万円と天井知らずです。中古品を探す手もありますが、モーターの調子や芯のブレなど、素人には見極めが難しい部分も多いので注意が必要です。

 

さらに、ラスボスとして君臨するのが「電気窯」。自分の作品を、自分の手で、自分の窯で焼く…。これはもう、陶芸を愛する者にとって最高の夢の一つです。でも、夢の代償は大きい。小型のものでも安くて30万円〜、ちょっと大きくなると100万円を超えることも珍しくありません。設置工事や200Vの電源確保も必要で、電気代ももちろんかかります。買う前には、家族や大家さんとの綿密な(そして白熱した)交渉が不可欠でしょう。「うちに窯を置きたいんだけど…」と切り出した時の、家族のあの何とも言えない表情、今でも忘れられません。

 

「え、そんなにかかるの…?」と、ちょっと怖くなっちゃいましたか?ごめんなさい。でも、これはあくまで「ガッツリ」やる場合の話。最初は手びねり(ろくろを使わない方法)から始めて、焼成は貸し窯サービスを利用すれば、初期投資は数万円程度に抑えることも十分可能です。最初から完璧を目指さなくていいんです。少しずつ、自分の「好き」を育てながら、道具を買い足していく。その過程こそが、自宅陶芸の醍醐味でもあるんですよ。

陶芸の基本材料費を徹底解剖!これがリアルな数字だ

 

さて、ここからはもっと具体的に、一個一個の材料費について見ていきましょう。陶芸のコストを考える上で絶対に外せないのが「粘土」「釉薬」「焼成費」の三本柱です。この3つの値段を把握しておけば、お茶碗一杯作るのにだいたいいくらかかるのか、その目安が見えてきます。私が実際に買って「うわ、高っ!」と思ったものから、「これはコスパいいな」と感じたものまで、リアルな感覚でお伝えしますね。

主役の「粘土」その値段と選び方の罠

陶芸のすべては、この粘土から始まります。まさに主役中の主役。この粘土、実はものすごい種類があって、値段もピンキリなんです。

 

一番ポピュラーで初心者にも扱いやすいと言われるのが「信楽(しがらき)の並漉(なみこし)粘土」あたりでしょうか。これは、10kgで2,000円〜3,000円くらいが相場です。10kgって聞くと「そんなに!?」と思うかもしれませんが、マグカップなら1個作るのにだいたい500gくらい使うので、20個は作れる計算になります。そう考えると、意外と安くないですか?マグカップ1個あたりの粘土代は、たったの100円〜150円。なんだか、やれそうな気がしてきませんか?

 

でも、陶芸用品店のサイトなんかを覗くと、もう、目がくらむほどの粘土が並んでいるわけです。鉄分が多くて渋い風合いになる「赤土」、真っ白で繊細な作品に向く「磁器土」、ざらっとした質感が魅力の「備前土」…。値段も、特別な原料を使ったものだと10kgで5,000円以上することも。

 

ここで初心者が陥りがちなのが、「なんかプロっぽくてカッコいいから」という理由で、いきなり扱いの難しい粘土に手を出してしまうこと。私、やりました。「黒泥(こくでい)粘土」っていう、真っ黒でモダンな作品が作れる粘土に一目惚れして買ったんです。でも、これがまあ、普通の粘土より乾燥が早くて、すぐにヒビが入る!ちょっと目を離した隙に、成形したお皿のフチがパリッパリに…。結局、ほとんどを失敗作として粘土の再生BOX(ただの衣装ケースですが)に葬り去りました。あの時の絶望感たるや…。

 

なので、最初は本当に、オーソドックスな並漉粘土から始めることを強く、強くおすすめします。それで物足りなくなったら、少しずつ他の粘土を試していくのが一番です。粘土1種類だけでも、作り方や焼き方で無限の表情を見せてくれる。まずはその奥深さを味わうのが、遠回りのようで一番の近道だと思いますよ。

作品を彩る「釉薬」意外と沼が深い世界の入り口

粘土で形を作っただけの状態を「素焼き」と言いますが、このままでは水を吸ってしまうし、見た目もちょっと素朴すぎます。そこで登場するのが、作品にガラス質の膜をまとわせて、色や光沢を与える「釉薬(ゆうやく)」です。この釉薬こそが、陶芸の楽しさを爆発させると同時に、あなたの懐をじわじわと蝕んでいく、恐ろしくも魅力的な「沼」の入り口なんです。

 

釉薬は、液体状で売られているものと、粉末で売られているものがあります。初心者が手を出しやすいのは、水で溶いてあってすぐに使える液体タイプ。これが、だいたい500mlのペットボトルくらいのサイズで、1,500円〜3,000円くらいします。

 

「え、それだけ?」と思うなかれ。色が、色が無限にあるんですよ!基本の「透明釉」、マットな質感がオシャレな「白マット釉」、わびさびを感じる「織部釉」、鮮やかな青が美しい「ルリ釉」…。陶芸用品店に行くと、壁一面に並んだ釉薬サンプルが「私を買って…」と囁きかけてくるんです。

 

「最初は透明釉と白マットがあれば十分」と頭ではわかっているのに、気づいたら「この、ちょっとくすんだピンクが絶妙にかわいい…」とか言って、カゴに新しい釉薬を入れている自分がいる。恐ろしいことです。家に帰って棚に並べて、「ふふふ…コレクションが増えた…」と悦に入る時間も、まあ、楽しいんですけどね。

 

ちなみに、粉末の釉薬は500gで1,000円前後と、液体に比べてかなり割安です。でも、これを水で溶いて、適切な濃度に調整して、さらに「ふるい」にかけるという、なかなかに面倒な作業が必要になります。この濃度調整が絶妙に難しくて、薄すぎると色が乗らないし、濃すぎると焼いた時に垂れて棚板にくっつくという大惨事を引き起こします。はい、これもやりました。窯の棚板に作品がガッチリ溶接されてしまった時の、あの血の気が引く感覚…。

 

だから、最初は液体釉薬から始めるのが絶対に安全です。そして、いきなりたくさんの色を揃えようとしないこと。まずは1色か2色を使いこなして、「この釉薬は、厚くかけるとこんな色になるんだ」とか「二度掛けすると深みが出るな」といった、釉薬ごとの「クセ」を掴むことが大切。それがわかってくると、釉薬選びがもっともっと楽しくなりますから。

焼いてもらう料金「焼成費」これが一番のネックかも?

自宅に窯がない大多数の人にとって、この「焼成費(しょうせいひ)」が、材料費の中で一番大きな割合を占めるかもしれません。自分で作った愛しい作品に、命を吹き込む最終工程。それが「焼成」、つまり窯で焼くことです。こればっかりは、専門の設備がないとどうにもなりません。

 

陶芸教室に通っている場合は、月謝の中に焼成費が含まれているか、あるいは別途料金がかかるシステムになっています。別途料金の場合の計算方法は教室によって様々で、「作品の縦×横×高さの体積で計算」「重さで計算」「作品1個につきいくら」といった感じです。

 

例えば、体積計算だと「1立法cmあたり1.5円」とか。マグカップが大体10cm×10cm×10cm=1000立法cmだとすると、1個焼くのに1500円。これに、素焼き(1回目)と本焼き(2回目)の2回焼くので、合計3000円…って、あれ?結構高くない!?と驚くかもしれません。教室によって本当に料金体系が違うので、入会前には「焼成費はどのようにかかりますか?」としっかり確認しておくことが重要です。ここを曖昧にしておくと、後でびっくりする請求が来ることがありますからね。

 

自宅で制作している人は、「貸し窯」や「焼成代行」といったサービスを利用することになります。近所の陶芸教室や、専門の業者が窯の時間貸しや、作品だけ預かって焼いてくれるサービスを提供しています。料金は、窯の大きさや温度、焼く時間によって変わりますが、一回の焼成で1万円〜3万円くらいが目安でしょうか。

 

もちろん、窯をいっぱいに埋められれば、作品一個あたりのコストはぐっと下がります。だから、貸し窯を利用する時は、ある程度作品を溜めてから一気に焼くのが賢いやり方。あるいは、陶芸仲間を募って、みんなで窯をシェアするのも最高の節約術です。

 

自分の作品が、灼熱の窯の中でどんな風に変化して出てくるのか。それを待つ間のドキドキと、窯から出てきた作品と対面した時の感動は、何物にも代えがたいものです。その感動体験料だと思えば、焼成費も…まあ、安くはないけど、払う価値は、ある!と私は思っています。

意外と見落としがち?道具にかかる費用とその実態

 

粘土、釉薬、焼成費。この三本柱に目が行きがちですが、忘れてはいけないのが「道具」の存在です。最初は「まあ、家にあるもので代用できるでしょ」なんて高をくくっていると、痛い目を見ます。というか、私が見ました。陶芸は、思った以上に専用の道具が必要になるし、そして、その道具たちがまた、物欲を刺激してくるんですよ。「これがあれば、もっと素敵な作品が作れるに違いない…」という悪魔の囁きが、常に聞こえてくるんです。

最低限これだけは揃えたい!基本の道具セットの目安

よし、陶芸を始めよう!と思った時、まず何を買えばいいのか。途方に暮れますよね。そんな初心者のために、大抵の陶芸用品店では「初心者用道具セット」みたいなものが売られています。価格はだいたい2,000円〜5,000円くらい。これさえあれば、とりあえず手びねりで一通りの作業はできますよ、という便利なセットです。

 

中身はだいたいこんな感じ。

 

・切り糸/切り針金: 粘土の塊から使う分を切り出したり、ろくろから作品を切り離したりするのに使います。
・ヘラ/コテ: 木製や竹製、金属製など色々。粘土の表面をならしたり、模様をつけたり、形を整えたり。これが一番種類が多くて沼。
・なめし皮: 器のフチなど、口当たりを滑らかにするための必需品。セーム皮ですね。
・スポンジ: 水を含ませて表面をきれいにしたり、水分調整をしたり。
・かきべら/カンナ: ろくろで挽いた作品の底(高台)を削り出すための道具。手びねりでも、形を削り出すのに使えます。
・シッピキ: ろくろから作品を切り離す時に使う、持ち手付きの針金。

 

正直、最初はこれで十分です。本当に。このセットに入っている道具を使い倒して、「ああ、このヘラの角度がもうちょっと鋭ければ…」「このカンナ、もっと刃が薄いのが欲しい!」という具体的な不満が出てきたら、初めて単品で買い足す、というのが理想的なステップアップです。

 

私なんて、最初は何を思ったか「形から入るタイプだから」とか言って、いきなり単品で、ちょっとお高めの作家さんが作ったようなヘラを何本も買ってしまったんです。でも、いざ使ってみると、自分の手の大きさや力の入れ方に合わなくて、結局ほとんど使わなかったり…。結局、一番手に馴染んだのは、道具セットに入っていた一番安っぽい竹ベラだった、なんていう悲しい結末を迎えました。まずは基本セット。これは鉄則です。

あると便利な道具たち 欲望との戦いが始まる

基本セットで陶芸のイロハがわかってくると、必ず訪れるのが「もっとこうしたい」という欲求の高まりです。そして、その欲求を満たしてくれる「あると便利な道具」の存在に気づいてしまうんです。ここからが、あなたのお財布と欲望との長い戦いの始まりです。

 

例えば、「ポンス」。これは粘土にきれいな円形の穴を開けるための道具です。サイズも色々あって、箸置きの紐通し穴から、透かし彫りの模様まで、これがあるだけでデザインの幅がぐっと広がります。なくても、竹串とかで地道に開けられなくはない。でも、ポンスで開けた穴の、あのスパッと切り取られたような美しさを一度知ってしまったら、もう戻れません。気づけば、サイズの違うポンスが何本も道具箱に転がっているはずです。

 

それから、「ドベ受け」。ろくろを挽く時に、飛び散る泥水を受け止めてくれる鉢のことです。最初は大きめのボウルとかで代用するんですが、やっぱり専用品は使いやすい。ろくろにカチッとはまる一体感、作業後の片付けの楽さ。一度使うと「なんでもっと早く買わなかったんだ!」って思います。

 

他にも、釉薬をかける時に使う「釉はがし」や「撥水剤」、精密な作業に欠かせない「絵付け筆」、釉薬の濃度を測る「ボーメ計」…。挙げだしたらキリがありません。ひとつひとつは、1,000円〜3,000円くらい。大した金額じゃないように思える。でも、「チリも積もれば山となる」を、これほど実感させてくれる趣味もなかなかないでしょう。

 

「この道具があれば、あの作風が真似できるかも」「これを使えば、作業が10分は短縮できる…!」そんな甘い誘惑に、あなたは打ち勝つことができますか?私は…まあ、だいたい負けてますけどね。でも、新しい道具を手に入れて、作品のクオリティが上がった(気がする)時の喜びも、また陶芸の楽しさの一つなんですから、仕方ないですよね?

電動ろくろはラスボス?購入かレンタルかそれが問題だ

陶芸といえば、やっぱり電動ろくろ。くるくる回る土の塊が、すーっと立ち上がってお椀の形になっていく…。あの光景に憧れて陶芸を志した人も少なくないはずです。私もその一人です。でも、この電動ろくろ、まさに自宅陶芸における「ラスボス」級の存在感を放っています。

 

まず、価格。先にも少し触れましたが、新品だと安くても10万円近く、プロ仕様のものだと50万円以上します。中古市場もありますが、モーターの寿命や回転の安定性など、見極めが難しいのが正直なところ。「安物買いの銭失い」になるリスクも十分にあります。

 

そして、置き場所と騒音問題。電動ろくろって、意外と大きいし、重いんです。一度設置したら、そう簡単には動かせません。さらに、作動音。最近のものは静音設計が進んでいますが、それでも無音ではありません。「ウィーン」というモーター音と、土と水が飛び散る音は、特に集合住宅では気を使う必要があります。「夜中に創作意欲が湧いてきちゃった!」なんて時に、気軽に使えるかどうかは、ご近所付き合いにもよるでしょう。

 

「じゃあ、マイろくろは夢のまた夢か…」と諦めるのはまだ早い!最近は、時間貸しで電動ろくろを使わせてくれる「レンタルスペース」や「シェア工房」が増えてきています。1時間2,000円〜3,000円くらいで、好きなだけろくろを挽けるんです。購入する前に、まずはこういう場所でろくろの楽しさと難しさを存分に味わってみるのが、一番賢い選択かもしれません。

 

そこで、「やっぱり私にはろくろが必要だ!毎日触っていたい!」と心から思えたなら、その時こそ、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、購入を検討すればいいんです。焦る必要はありません。ろくろは逃げませんから。手びねりで作る、温かみのある歪んだ器の魅力にどっぷりハマって、「ろくろ、いらないかも」ってなる可能性だって、十分にありますしね。

私がやらかした!材料費にまつわる失敗談と節約術

 

ここまで、陶芸の材料費の目安について、ちょっとカッコつけた感じで語ってきました。でも、ここからは私の、もっと泥臭い話をします。そう、数々の失敗談です!「安物買いの銭失い」から「なんでこんなもの買っちゃったんだろう…」という後悔まで、私の屍を越えて、皆さんには賢く、そして無駄なく陶芸を楽しんでほしい。そんな切なる願いを込めて、恥を忍んで告白します。これを読めば、あなたの陶芸ライフはもっと豊かになる…はず!

安物買いの銭失い…100均で買って後悔したものリスト

陶芸を始めると、ふと、こう思うんです。「この道具、100円ショップのアレで代用できるんじゃない…?」と。その探究心、素晴らしい。でも、結論から言うと、やめておいたほうがいいものが結構あります。私が実際に100均で買って、「ダメだこりゃ!」となったものをリストアップしますね。

 

・スポンジ: 食器洗い用のスポンジ、いけるでしょ!と思って買いました。でも、陶芸用のきめ細かいスポンジと違って、すぐにボロボロになるんです。作品の表面を撫でているつもりが、スポンジのカスをなすりつけているだけ、という悲しい結果に。作品に余計な傷がつく原因にもなります。

 

・霧吹き: 釉薬をかける前に、素焼きのホコリを払ったり、少し湿らせたりするのに使います。100均の霧吹き、最初はいいんです。でも、使っているうちに、だんだん水の出方が均一じゃなくなってくる。「シャーッ」と綺麗な霧が出るはずが、「ビシャッ!ダマ!」みたいな感じで水滴が飛んで、作品にシミが…なんてことも。

 

・筆: 絵付け用に、と思って買ったナイロン製の筆。コシがなさすぎて、線がふにゃふにゃになる!思ったところに色が置けなくて、イライラが募るばかり。やっぱり、ある程度のコシと、毛のまとまりがある専用の絵付け筆には敵いませんでした。

 

もちろん、100均が全てダメなわけではありません。粘土を保管するタッパーや、釉薬を溶くためのバケツ、掃除用のブラシなんかは、むしろ100均で十分すぎるほど活躍してくれます。要は、使い分け。作品の仕上がりに直接関わるような道具は、ケチらずに専用のものを買ったほうが、結果的にストレスも少なく、上達も早い。これが、私が身をもって学んだ教訓です。

粘土を無駄にしない!ちょっとセコいけど効果絶大な再生術

陶芸をやっていると、どうしても粘土のロスが出ます。ろくろを挽いた時に削り取った粘土、成形に失敗した無残な塊、乾燥しすぎてヒビが入ってしまったお皿…。これらを、まさかそのままゴミ箱に捨ててはいませんよね?もったいない!お化けが出ますよ!

 

この、一見ゴミに見える粘土たちは、手間をかければ新品同様の粘土に生まれ変わらせることができるんです。そう、「粘土の再生」です。正直に言います。この作業、めちゃくちゃ面倒くさいです。でも、これをやるかやらないかで、あなたの粘土代は劇的に変わってきます。

 

やり方は、まあ、色々あるんですが、私がやっているのはこんな感じ。
まず、大きめの丈夫なビニール袋か、蓋付きのプラスチックケースを用意します。
そこに、削りカスや失敗作をどんどん放り込んでいきます。この時、なるべく細かく砕いておくと後が楽です。

 

全部がカラカラに乾くまで、しばらく放置します。中途半端に湿っていると、再生ムラができてしまうので、ここは我慢。
完全に乾いたら、水をひたひたになるくらいまで注ぎます。そして、また放置。粘土がドロドロの泥水(スラリーって言います)になるまで待ちます。

 

ドロドロになったら、今度は水分を抜いていきます。石膏ボードの上にあけて水分を吸わせるのが王道ですが、そんなもの普通はないので、私は使い古しのTシャツとかを敷いた段ボールの上にあけて、ひたすら待ちます。

 

ほどよい硬さ(耳たぶくらいが目安!)になったら、いよいよ「菊練り(きくねり)」です。粘土の中に残った空気を抜きながら、均一な硬さにしていく作業。これがまた、腰に来る重労働なんです…。
どうです?聞いただけでも「うわ、めんどくさ…」って思いません?でも、この一連の作業を乗り越えた先に、再生された美しい粘土の塊が現れた時の達成感は、なかなかのものです。そして何より、お財布に優しい。このセコい(もとい、丁寧な)一手間が、あなたの陶芸ライフを長く、豊かにしてくれることは間違いありません。

釉薬はシェアが最強!仲間と繋がるコスト削減の魔法

釉薬の沼が深い、という話はしましたよね。あれもこれも、試してみたい色がたくさんある。でも、一つ買うと1,500円以上するし、一人じゃなかなか使いきれない…。そんなジレンマを解決してくれる魔法の言葉、それが「シェア」です。

 

もし、あなたの周りに陶芸をやっている仲間がいるなら、こんな提案をしてみてください。「今度、この珍しい黄瀬戸釉を買おうと思うんだけど、半分こしない?」と。一人で3,000円出すのは勇気がいるけど、二人で1,500円ずつなら、なんだか手が出せそうな気がしませんか?

 

陶芸教室に通っているなら、もっと簡単です。「〇〇さんが持ってるあのルリ釉、今度ちょっとだけ使わせてもらえませんか?代わりに私のこの織部釉、使ってみます?」なんていう会話が、あちこちで自然に生まれます。これぞ、教室通いの醍醐味の一つ!

 

シェアのメリットは、コスト削減だけじゃありません。自分が持っていない釉薬を試せることで、作品の表現の幅がぐんと広がります。「この粘土に、あの人のあの釉薬をかけたら、どんな色になるんだろう…?」なんていう、化学反応を楽しむワクワクが生まれるんです。

 

そして何より、仲間との繋がりが深まること。「この前シェアしてもらった釉薬、すっごくいい色に焼けたよ!ありがとう!」なんていう報告をしあったり、「今度、みんなで貸し窯借りて焼成会しない?」なんていう企画に発展したり。一人で黙々と作るのもいいけれど、こうやって人と繋がりながら楽しむ陶芸も、また格別です。お金の節約から始まって、人間関係まで豊かになるなんて、シェアって、本当に最強の魔法だと思いませんか?

まとめ  陶芸の材料費は自分次第でコントロールできる最高の趣味

 

ここまで、本当に長く、そして熱く語ってきてしまいました。最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございます。陶芸の材料費、その目安は、なんとなく掴んでいただけたでしょうか?

 

結局のところ、陶芸にかかる費用というのは、あなたの「熱量」と「スタイル」次第で、どうにでもコントロールできるものなんです。

 

まずは近所の陶芸教室の体験コースに、ランチ一回分くらいの費用で行ってみる。それが、あなたにとっての最初の「材料費」です。そこで「楽しい!」と感じたら、月々1万円程度の月謝を払って、仲間とおしゃべりしながら週末の趣味として続ける。これも、一つの素晴らしい陶芸ライフです。この場合、大きな初期投資は必要ありません。

 

あるいは、「もっと自分の世界に没頭したい!」と強く感じたなら。最初は数千円の道具セットと10kgの粘土、そして貸し窯の焼成費、合計1万円〜2万円ほどの初期投資で、自宅での手びねり生活をスタートさせる。そして、少しずつ、自分の「欲しい」という気持ちに正直に、道具を買い足し、試したい釉薬を増やしていく。その過程でかかる費用もまた、趣味の楽しみの一部です。

 

大切なのは、背伸びをしないこと。そして、他人と比べないこと。SNSで見るような、立派な電動ろくろや電気窯がなくても、あなたの手のひらから、世界でたった一つの、愛おしい作品は生まれます。

 

この記事が、あなたの「陶芸を始めてみたい」という、その尊い気持ちを、ほんの少しでも後押しできたのなら、これ以上に嬉しいことはありません。さあ、まずはその手で、土を触ってみませんか?驚くほど心地よくて、温かい。あなただけの物語が、そこから始まりますよ。