陶芸の粘土ってぶっちゃけいくら?値段のリアルと初心者が絶対にハマる落とし穴

陶芸の粘土ってぶっちゃけいくら?値段のリアルと初心者が絶対にハマる落とし穴

 

「自分の手で、世界に一つだけのうつわを作ってみたい」

 

そんな素敵な夢を抱いて、陶芸の世界に興味を持ったあなた。ようこそ、底なしの「土いじり沼」へ!…と、歓迎したいところですが、まず最初に頭をよぎるのは、やっぱりお金のこと、ですよね?

 

「陶芸って、なんかお金かかりそう…」「特にあの粘土!一体いくらするの?」

 

わかります!私も最初はそうでした。なんだか高尚な趣味に見えるし、材料も特殊そうだし、値段を聞くのが怖い…みたいな。でもね、先に結論から言っちゃいます。陶芸の粘土、あなたが思っているよりずっと安く手に入ります。ものによりますが、1kgあたり数百円から、ちゃんとした陶芸用の粘土が買えちゃうんです。これなら、お小遣いをちょっと貯めれば、すぐにでも始められそうじゃないですか?

 

この記事では、元・陶芸教室ジプシーで、今では自宅の片隅に小さな作業スペースを作ってしまった私が、陶芸粘土のリアルな値段から、初心者が絶対に知っておくべき選び方、そして私が実際にハマった「安物買いの銭失い」の悲しい失敗談まで、包み隠さずお話しします。この記事を読み終わる頃には、粘土の値段に対する不安は消え去り、「よし、週末に粘土を買いに行こう!」とウキウキしているはず。さあ、一緒に粘土の世界を覗いてみましょう!

 

陶芸粘土の値段は数百円から!でも安さだけで選ぶと地獄を見る

 

まず、皆さんが一番気になっているであろう結論からお話ししますね。陶芸用の粘土は、本当にピンキリです。でも、初心者が最初に手に取るべきスタンダードな粘土なら、だいたい1kgあたり500円前後から購入できます。え、安くないですか?私も最初は「え、そんなもんなの?」って拍子抜けしました。この「安さ」が、陶芸を始めるハードルをぐっと下げてくれる、最高の魅力の一つなんです。

 

1kgあたり500円前後が初心者のスタートライン

「1kgで500円」と言われても、いまいちピンとこないかもしれませんね。じゃあ、具体的にどれくらいのものが作れるのか。そうですねぇ、だいたいマグカップなら2〜3個、小さめのお茶碗なら2個くらいは作れるかな、という感じです。どうです?たったワンコインちょっとで、自分だけのマグカップが2つも作れるかもしれないんですよ。これ、すごくないですか?

 

もちろん、粘土の種類によって値段は上下します。例えば、ごくごく一般的な「並土(なみつち)」と呼ばれる粘土なら、ネットの陶芸用品専門店とかで探せば、10kgで3,000円〜4,000円くらいで見つかります。つまり、1kgあたり300円〜400円。もっと安い!こうなるともう、粘土遊びの延長くらいの感覚で始められちゃいますよね。

 

一方で、鉄分を多く含んでいて味のある風合いになる「赤土」や、キメが細かくて上品な仕上がりになる「白土」、あるいは顔料を混ぜ込んだ特殊な「カラー粘土」なんかは、少しお値段が上がります。それでも、1kgあたり600円〜1,000円くらいが相場でしょうか。いきなり高級な粘土に手を出す必要は全くありません。まずは、一番ベーシックで扱いやすい並土からスタートするのが、お財布にも、そしてあなたの心にも優しい選択だと、私は断言します。

 

なぜ「安すぎる粘土」は危険なのか?私の大失敗談

ここで、私の黒歴史を一つ、皆さんのために披露しましょう…。陶芸を始めたての頃、私はとにかくコストを抑えることに必死でした。「粘土なんて、どれも土なんだから一緒でしょ?」と、今思えば恐ろしい考えで、ネットオークションで見つけた激安の「用途不明・詳細不明」の粘土を10kg、ポチってしまったのです。値段は確か、送料込みで2,000円くらいだったかな。「やった!これで一生遊べるぜ!」なんて浮かれていた自分を、過去に戻って本気で殴りたい。

 

届いた粘土の袋を開けた瞬間、まず嫌な予感がしました。なんか…パッサパサなんです。水を加えて必死に練るんですけど、全然まとまらない。例えるなら、乾ききった砂場に水を撒いてるような感じ。腕はパンパンになるし、爪の間にはカピカピの土が入り込んで取れないし、もう半泣きでした。

 

それでもなんとか形にして、近所の陶芸教室に「これ、焼いてもらえませんか?」と持ち込んだんです。そしたら先生に、「うーん、これ、どこの土?焼成温度がわからないと焼けないよ。最悪、窯の中で溶けて他の人の作品までダメにしちゃうから…」と、ものすごく申し訳なさそうに断られてしまいました。がーーーーん。時間と労力と、なにより私のワクワクした気持ちが、全て水の泡になった瞬間でした。安さには、理由があるんです。特に初心者のうちは、素性のわからない激安粘土には絶対に手を出さないでください。あれは、ただの「高い泥」です。本当に。

 

どこで買う?陶芸粘土の購入場所とそれぞれのメリット・デメリット

 

さて、「粘土の値段はわかった!じゃあ、どこで買えばいいの?」という次の疑問が湧いてきますよね。粘土を買える場所は、意外といくつか選択肢があります。それぞれに良いところと、うーん…なところがあるので、あなたのライフスタイルや性格に合わせて選んでみてください。

 

手軽さNo.1!ネット通販(Amazon・楽天・専門店)

今や何でもネットで買える時代。もちろん、陶芸粘土も例外ではありません。Amazonや楽天、あるいは陶芸用品専門のオンラインショップを覗いてみてください。驚くほどたくさんの種類の粘土が、ずらーっと並んでいます。

 

ネット通販の最大のメリットは、なんといってもその「手軽さ」と「種類の豊富さ」です。重たい粘土を家まで運んでくれるなんて、最高じゃないですか?私も普段は、使い慣れた粘土をネットでまとめ買いしています。ポチッとするだけで数日後には玄関に土の塊が届く。文明の利器に感謝です。

 

ただ、デメリットもあります。それは「実物が見れない・触れない」こと。粘土って、写真で見るのと実際に触るのとでは、質感が全然違うことがあるんです。レビューを血眼になって読むのも一つの手ですが、こればっかりは個人の感覚なので、アタリハズレがあるのは覚悟しないといけませんね。あと、少量だけ買いたい時に、送料が意外と高くつくことも。粘土自体より送料の方が高い、なんていう本末転倒な事態も起こり得るので、購入前には必ずトータルの金額を確認してくださいね!

 

実物を見て触れる!陶芸用品専門店

もしあなたの家の近くに陶芸用品の専門店があるなら、それはもう、幸運としか言いようがありません。ぜひ一度、勇気を出して足を踏み入れてみてください。

 

専門店の良さは、なんといってもプロの店員さんに直接相談できること!「陶芸、初めてなんですけど…」「マグカップを作りたいんですけど、どの粘土がいいですか?」なんて聞けば、きっと親切に教えてくれるはずです。それに、見本の焼き上がりサンプルが置いてあったり、運が良ければ粘土を少し触らせてもらえたりもします。この「生の情報」に触れられるのは、何にも代えがたいメリットですよね。

 

私が初めて専門店に行った時のこと、今でも覚えています。なんだか職人さんみたいな人しかいなくて、場違い感がすごくて…。ドアを開けるのに5分くらい店の前をウロウロしました(笑)。でも、いざ入ってみると、店員のおじさんがすごく優しくて。「最初はね、この並土がいいよ。失敗も少ないし、値段も手頃だから」って、丁寧に説明してくれて。その一言で、一気に不安が吹き飛んだんです。あの時のおじさん、元気かなあ…。ちょっと入りづらい雰囲気があるかもしれませんが、そこを乗り越えれば、最高の出会いが待っているかもしれませんよ。

 

意外な穴場?ホームセンター

「専門店は近所にないし、ネットでいきなり買うのもちょっと…」というあなた。意外な穴場が、ホームセンターです。最近では、DIYコーナーや文具コーナーの片隅に、陶芸用の粘土が置いてあることが増えてきました。

 

ホームセンターのいいところは、なんといってもその「手軽さ」ですね。500gとか1kgとか、少量から売っていることが多いので、「とりあえず一回だけ、どんなもんか触ってみたい」というお試しにはもってこいです。値段も、専門店とそこまで大きくは変わりません。

 

ただし、品揃えは期待しちゃダメです。だいたい1〜2種類、本当に基本的な粘土が置いてあればラッキー、というくらい。専門的な知識を持った店員さんも、まずいないでしょう。「この粘土の収縮率は?」なんて聞いても、たぶん「え?」って顔をされちゃいます。あくまで「陶芸への入り口」「最初の第一歩」と割り切って利用するのが、賢い使い方だと思います。でも、その第一歩が、案外大事だったりするんですよね。

 

種類が多すぎ!初心者はどの粘土を選べばいいの?

 

さあ、粘土の値段と買い場所がわかったら、次はいよいよ「どの粘土を選ぶか」です。ネットショップや専門店を覗くと、もう本当に目がチカチカするくらい、たくさんの種類の粘土があります。「信楽(しがらき)」「瀬戸(せと)」「萩(はぎ)」…地名がついたものから、「赤土」「黒泥」「白化粧土」…色の名前がついたものまで。初心者はここで「うっ…」と固まってしまうことが多いんです。でも大丈夫。選び方のコツさえ知っていれば、迷うことはありません!

 

まずはコレ!「並土(なみつち)」を選んでおけば間違いない理由

もしあなたが、「どの粘土を買えばいいか、1ミリもわからない!」という状態なら、迷わず「並土(なみつち)」あるいは「並漉土(なみこしつち)」と書かれた粘土を選んでください。これはもう、絶対です。

 

なぜなら、並土は「陶芸界の優等生」だから。まず、扱いやすい。粘土の硬さやキメの細かさが、ちょうどいい塩梅なんです。初心者でも練りやすいし、成形もしやすい。次に、値段が安い。先ほどもお話しした通り、最もリーズナブルな価格帯の粘土です。そして、焼成温度の範囲が広い。これはどういうことかというと、多少焼く温度がズレても、失敗しにくいということ。いろんな意味で、初心者にめちゃくちゃ優しい粘土なんです。

 

私も色々な粘土を試してきましたが、結局、普段使いのうつわを作るときは、この並土に戻ってきちゃいます。変なクセがなくて、素直で、どんな形にもなってくれる。まさに、陶芸の基礎を学ぶには最高の相棒です。まずはこの並土で「土に慣れる」こと。これが、上達への一番の近道ですよ。

 

ちょっと背伸びしたい?色や質感で選ぶ粘土たち(赤土・黒土・白土)

並土に慣れてきて、「なんだか物足りないな」「もっと個性的な作品が作りたいな」と感じ始めたら、いよいよステップアップの時です。色や質感で粘土を選んでみましょう。

 

代表的なのは「赤土」ですね。鉄分を多く含んでいるので、焼くとレンガ色のような、温かみのある茶色になります。和食にも洋食にも合う、すごく味のあるうつわが作れますよ。ただ、並土に比べると少し粒子が粗くて、ジャリジャリした手触りのものが多いかな。値段は並土より少しだけ高いくらいです。

 

次に「黒土(こくど、くろつち)」。これはもう、とにかくカッコいい!焼くとシックな黒やダークグレーになって、料理がキリッと引き締まります。私も黒いお皿が大好きで、よく使います。ただ、こいつはちょっと厄介なやつでして…。作業中、手がもれなく真っ黒になります。服についたら最後、なかなか落ちません。あと、乾燥させすぎるとヒビが入りやすいデリケートな一面も。上級者向けの粘土と言えるかもしれませんね。

 

そして「白土(はくど、しろつち)」。焼くとアイボリーや白に近い色に仕上がります。絵付けをしたり、色のついた釉薬(うわぐすり)をかけたりするのに最適です。清楚で上品な雰囲気ですが、これもまたデリケート。作業中のちょっとした手の汚れも目立ってしまうので、丁寧な作業が求められます。まさに、扱いの難しい美人さん、という感じでしょうか。

 

これは避けろ!初心者が手を出してはいけない粘土

ここで、初心者の方に「これだけは絶対にやめておけ!」という粘土についてもお話ししておきます。それは、「磁器土(じきど)」です。

 

磁器土は、皆さんがよく知る「有田焼」や「九谷焼」のような、白くて硬い、透き通るような焼き物に使われる粘土です。仕上がりは本当に美しい。でも、その分、めちゃくちゃ扱いが難しいんです!

 

まず、粘り気がほとんどありません。ロクロを回しても全然伸びてくれないし、ちょっとした力加減でぐにゃっと崩れます。乾燥のスピードも速くて、ちょっと油断するとすぐにカチカチに。そして何より、焼くのが難しい。焼成温度が非常に高く、しかもその温度管理がめちゃくちゃシビア。プロが使うF1マシンみたいなものだと思ってください。免許取り立ての人がいきなりF1に乗ったら、どうなるか…わかりますよね?

 

まずは並土という乗りやすい教習車で、土の扱い方、アクセルとブレーキの感覚をしっかり身につけること。憧れは、その先に取っておきましょう。本当に、心が折れますよ…。

 

粘土代だけじゃない!陶芸にかかる「見えないコスト」の話

「よし、粘土は500円で買えるのか!じゃあ始めよう!」…と、思ったあなた。ちょっと待ってください。実は、陶芸には粘土代以外にも、いくつか「見えないコスト」が存在するんです。これを最初に知っておかないと、「え、こんなにお金がかかるなんて聞いてないよ!」と後から慌てることになります。大丈夫、ちゃんと心の準備をしておけば、何も怖くありませんからね。

 

最大の関門「焼成代」って何?相場は?

自分で作った作品、ただ乾かしただけでは完成ではありません。1000度以上の高温で「焼く」という工程を経て、初めてカチカチの丈夫な「やきもの」になるんです。この「焼く」作業を「焼成(しょうせい)」と言います。

 

もちろん、自宅のオーブンなんかでは絶対に焼けません。専用の「陶芸窯」が必要です。…って、そんなもの持ってる人、ほとんどいませんよね?私も持っていません。じゃあどうするかというと、陶芸窯を持っている陶芸教室やレンタル工房にお願いして、焼いてもらうんです。この時にかかる費用が「焼成代」です。

 

この焼成代が、実は粘土代よりも高くつくことが多い、最大の関門なんです。料金体系は工房によって様々ですが、だいたい「作品の体積(タテ×ヨコ×高さ)」や「重さ」で決まることが多いです。例えば、「湯呑み1個で1,000円〜1,500円」「中くらいのお皿1枚で2,000円前後」というのが、ざっくりとした相場でしょうか。これには、素焼き(1回目)と本焼き(2回目)の2回分の料金が含まれていることがほとんどです。粘土は500円でも、それを作品として完成させるには、その数倍のお金がかかる、ということを覚えておいてくださいね。

 

意外と沼る「釉薬(ゆうやく)」と道具の値段

作品を焼く前には、「釉薬(ゆうやく、うわぐすり)」というガラス質の液体をかけるのが一般的です。これによって、作品に色がついたり、ツルツルになったりするわけです。この釉薬も、自分で用意する必要があります。

 

釉薬も本当にたくさんの種類があって、値段もピンキリ。安いものなら500gで1,000円くらいからありますが、綺麗な色が出るものや特殊な質感になるものは、もっと高価になります。「あの青色もいいな…」「このマットな質感も捨てがたい…」なんてやっていると、あっという間に釉薬のボトルだらけに。これがまた、楽しい沼なんですけどね!

 

あとは、粘土をこねたり、形を整えたり、削ったりするための「道具」も必要です。ヘラ、カンナ、シッピ、弓、コテ…。専門の道具を揃えようとすると、これも数千円〜1万円くらいはかかります。でも、安心してください。最初は全部揃える必要なんてありません!ぶっちゃけ、竹串とか、使い終わったプラスチックのカードとか、100円ショップで売っている粘土ヘラとかで、十分代用できます。私も最初はそんな感じで、少しずつ専門の道具を買い足していきました。まずは家にあるもので工夫してみるのも、また一興ですよ。

 

まとめ 結局、陶芸を始めるのにいくらかかるの?

 

さて、ここまで陶芸の粘土の値段を中心に、購入場所や種類、そして粘土以外の「見えないコスト」について、私の体験談を交えながら熱く語ってきました。なんだか情報量が多くて、逆に混乱させてしまったかもしれませんね。ごめんなさい。

 

最後に、結局のところ「陶芸を趣味として始めるのに、一体いくらくらいかかるの?」という疑問に、ズバッとお答えしたいと思います。

 

まず、最初の一個、例えば「マイ湯呑み」を作ると仮定しましょう。

 

・粘土代:並土1kgで約500円。湯呑み1個なら300gもあれば十分なので、実質150円くらい。
・道具代:最初は家にあるものや100均で代用すれば、高くても1,000円くらい?
・焼成代:湯呑み1個で約1,000円〜1,500円。
・釉薬代:工房でかけてもらうなら焼成代に含まれることも。自分で買うなら初期投資で2,000円くらい?

 

つまり、本当にミニマムに始めるなら、合計で3,000円〜5,000円もあれば、あなただけのオリジナル作品を一つ、この世に生み出すことができるんです。どうでしょう?飲み会を1〜2回我慢すれば、十分に手が届く金額じゃないですか?

 

もちろん、これはあくまでスタートラインの話。ここから色々な粘土を試したくなったり、道具にこだわりたくなったり、釉薬の沼にハマったり…と、趣味が深まればかかるお金も増えていきます。でも、それはどんな趣味でも同じこと。

 

私がこの記事で一番伝えたかったのは、値段にビビって、その一歩を踏み出せないでいるのは、あまりにもったいない!ということです。ひんやりと湿った土の感触。自分の指の跡が、そのまま形になっていく不思議な感覚。無心で土と向き合っていると、日々の悩みなんてどこかに飛んでいってしまうんですよ。そして、苦労して作り上げた自分のうつわで、初めてお茶を飲んだ時の感動は、本当に、何物にも代えがたいものです。

 

まずは、たった500円の粘土を一つ、買ってみませんか?そこから、あなたの新しい世界が、きっと始まるはずです。さあ、一緒に土いじり、始めましょう!