「初心者は電動ろくろは早い」なんてウソ?それとも本当?

「初心者は電動ろくろは早い」なんてウソ?それとも本当?

 

「陶芸、始めてみたいな」と思ったとき、あなたの頭に浮かぶのはどんな光景ですか?
やっぱり、くるくる…と静かに回る電動ろくろの上で、濡れた土がすーっと伸びて、美しい器の形になっていく…。あのシーン、憧れますよね!私も最初はそうでした。映画『ゴースト』みたいに、ロマンチックな雰囲気を想像したりして(笑)。

 

でも、いざ陶芸教室を探し始めると、こんな言葉を目にしませんか?

 

「初心者がいきなり電動ろくろを使うのは早いですよ」

 

…え?そうなの?じゃあ、あの憧れの体験はいつできるの?私には無理ってこと?なんて、不安になってしまいますよね。わかります、その気持ち。

 

だからこそ、この記事ではっきりお伝えしたいことがあります。その言葉は、あなたをがっかりさせるためのものじゃありません。むしろ逆!あなたが遠回りせず、最短で、最高に陶芸を楽しむための、先輩からの愛あるアドバイスなんです。この記事を読み終える頃には、「なるほど、そういうことか!」とスッキリして、ワクワクしながら土を触りたくてたまらなくなっているはず。無駄な挫折をせず、あなただけの最高の作品を生み出すための、一番確かな道筋をお見せします。さあ、一緒に陶芸の世界への扉を開けてみましょう!

「初心者は電動ろくろは早い」は半分本当で半分ウソ

 

さて、いきなり核心に触れますが、この「初心者は電動ろくろは早い」という定説。

 

これって、陶芸をやってる私からすると「うーん、半分は本当だけど、半分はちょっとした誤解も含まれてるかな」というのが正直なところなんです。決して、初心者が電動ろくろに触っちゃいけない、なんて意地悪なルールがあるわけじゃありません。そんなこと言ったら、陶芸体験教室なんて成り立たないですからね(笑)。

 

じゃあ、この言葉の本当の意味って何なのでしょうか?
それは「いきなり電動ろくろ“だけ”をやろうとすると、高確率で挫折しますよ」という、経験者からの親心みたいなもの。もっと言うと、「もっと楽しく、もっと確実に上達できる道があるのに、わざわざイバラの道からスタートしなくてもいいんじゃない?」という、お節介なほどの優しさなんです。だから、怖がらないでください。この言葉の裏にある「本当の理由」を知ることが、あなたの陶芸ライフを何倍も豊かにしてくれるはずです。

電動ろくろの魅力と、その裏に潜む難しさの正体

まず、電動ろくろの魅力って、なんと言ってもその「完成度の高さ」にありますよね。
機械の力を借りることで、均一な厚さで、左右対称のシュッとした美しいフォルムの器が作れる。お店に並んでいるような、あの完璧な円形の器は、ほとんどが電動ろくろで作られています。あの滑らかな表面、安定した高台…うっとりします。まさに「作品」という言葉がしっくりくる仕上がり。これを自分の手で生み出せたら…と考えると、胸が躍りますよね。

 

でも、その裏側には、とんでもない難しさが潜んでいるんです。
一言で言うと、「機械と土と自分の三者を、同時にコントロールしなくちゃいけない」ということ。電動ろくろは、あなたが少しでも気を抜くと、遠心力という名の暴れ馬に早変わりします。

 

ちょっと指に力が入っただけで、土はぐにゃ~っと歪み、壁はびよーんと外に広がり、最終的には無残なUFOみたいな物体が出来上がる…。ええ、もちろん私の初体験の話ですよ(笑)。あれは衝撃でした。先生はあんなに簡単そうにやっていたのに!なんで!?って。土は生き物で、機械は無慈悲。その間で、初心者の自分はただただ翻弄されるだけ。この「思い通りにいかない」感じが、想像以上に心を折ってくるんです。

手びねりという、もう一つの最高の選択肢を知っておこう

一方で、陶芸にはもう一つの主要な作り方があります。それが「手びねり」。
これは、電動ろくろを使わずに、すべて自分の手だけで形作っていく方法です。粘土の塊から紐状にした土を積み上げていく「ひも作り」や、塊を直接指で押し広げていく「玉作り」といった技法があります。

 

「え、手でこねるだけ?それって、子供の粘土遊びみたいじゃない?」
そう思ったあなた、正解であり、不正解です(笑)。

 

確かに、感覚としては粘土遊びに近いかもしれません。でも、ここには電動ろくろとは全く違う、奥深い世界が広がっているんです。手びねりの最大の魅力は、なんと言っても「土との対話」。自分の指の跡、手のひらの温もりが、そのまま作品の表情になる。少し歪んでしまったって、それが「味」になる。完璧じゃない、どこかいびつで、でも、だからこそ愛おしい。

 

そんな、自分だけの「一点もの」が生まれるのが、手びねりなんです。電動ろくろが「設計図通りに建てる建築」だとしたら、手びねりは「心に浮かんだ風景を描く絵画」のようなもの。どっちが良い悪いじゃなくて、全く違う種類の喜びがあるんですよ。

なぜ「初心者は電動ろくろは早い」と言われるのか?そのシビアな理由

 

では、もう少し具体的に、なぜ多くの先生や経験者が「まずは手びねりから」と口を酸っぱくして言うのか。その理由を、ちょっとだけシビアな現実とともにお話ししますね。これは脅しじゃなくて、あなたが壁にぶつかった時に「ああ、あの時言ってたの、これか!」と思い出して、乗り越えるためのヒントだと思って聞いてください。

 

電動ろくろって、傍から見ていると本当に魔法みたいに見えます。でも、その魔法の裏には、地道で、感覚的で、言葉で説明しづらい「コツ」が山ほど隠されているんです。それを知らないまま挑むのは、地図もコンパスも持たずに、いきなり深い森に足を踏み入れるようなもの。そりゃあ、迷子にもなりますって。

土との対話ができていない「土殺し」という最初の巨大な壁

電動ろくろを始める時、一番最初にする作業があります。
それが「土殺し(つちごろし)」。…すごい名前ですよね、物騒で(笑)。

 

これは、ろくろの上で回転する土の塊を、両手で包み込むようにして上下させ、土の中心をピタッと出す作業のこと。土の中に含まれる空気の粒を抜き、粘土の密度を均一にするための、めちゃくちゃ重要な工程です。これができていないと、土は遠心力に負けてブレッブレになり、そもそも器の形にすることすらできません。

 

でも、この「土殺し」が、初心者にとっては最初の、そして最大の壁なんです。
「中心を出す」って言われても、どこが中心なのかわからない。「土を締め上げる」と言われても、どれくらいの力でやればいいのかわからない。力を入れすぎれば土は潰れるし、弱すぎれば言うことを聞かない。まるで、機嫌の悪い猫をなだめるような、繊細な力加減と根気が必要なんです。

 

こればっかりは、理屈じゃない。「土の声を聞く」というか、「土の気持ちになる」というか…。手びねりで土の硬さや粘り、乾き具合といった「土の性格」をある程度理解している人でないと、この対話はかなり難しい。いきなり電動ろくろに座った初心者は、まずこの「言葉の通じない相手」とのコミュニケーションで、心がくじけてしまうことが多いんです。

遠心力という見えない暴れ馬との孤独な戦い

土殺しがなんとかできたとしましょう。次の関門は、器の形にしていく「成形」です。
ここに立ちはだかるのが、「遠心力」という見えない敵。

 

ろくろは常に一定の速度で回り続けています。その回転の力で、土は常に外へ外へと逃げようとするんです。あなたは、その力に逆らいながら、内側からそっと指で壁を押し広げ、同時に外側から手で支えて高さを出していく…。文章で書くと簡単そうですが、これが本当に難しい!

 

イメージしてみてください。高速で回るレコード盤の上で、豆腐を使ってお城を建てるようなものです。ちょっとでも指がブレたり、力加減を間違えたりした瞬間、壁はぐにゃり。縁はびろーんと波打ち、作品は一瞬でただの泥の塊に戻ってしまいます。特に、薄くて背の高い器を作ろうとすればするほど、遠心力の影響は大きくなる。先生が「はい、ここの壁をもう少し薄くしましょうね」なんて簡単に言うけれど、その「もう少し」が命取り!「あ…」と思った時にはもう手遅れ。目の前で自分の作品が崩壊していく絶望感たるや、なかなかのものですよ。この、常に緊張を強いられる感じ、常に遠心力と戦い続けなければいけない感じが、初心者には大きなストレスになるんです。

意識が散漫になる!手と足と目のマルチタスク地獄

さらに追い打ちをかけるのが、電動ろくろが要求する「マルチタスク能力」です。
あなたは、ろくろの前に座ったら、これだけのことを同時にこなさなければいけません。

 

・右手:器の外側の形を整え、支える。
・左手:器の内側から壁を押し広げ、厚みを調整する。
・両手全体:土がブレないように、常に中心を意識する。
・足:ペダルを踏んで、ろくろの回転速度をコントロールする。
・目:全体の形、歪み、厚みを瞬時に判断する。
・頭:次に何をすべきか考え、先生の指示を理解する。

 

…どうですか?想像しただけでパニックになりませんか?(笑)

 

私はなりました。「右手はこうで、左手は…あ、足!ペダル!速すぎる!え、どこ見てればいいの!?あーーーー!!」って。本当にこんな感じです。一つのことに集中するのがやっとの初心者が、これら全てを同時に、しかもミリ単位の精度でコントロールするなんて、はっきり言って至難の業。

 

手びねりなら、自分のペースで作業を進められます。ちょっと考えて、手を止めて、また動かして…という風に。でも、電動ろくろは待ってくれません。あなたが考えている間にも、土は回り続け、乾き、形を変えようとします。この、常に何かに追われているような感覚。これが、楽しむ余裕を奪ってしまう大きな原因の一つなんですね。

まずは何から始めるべき?最強の入門は「手びねり」一択です

 

ここまで電動ろくろの難しさを散々語ってきましたが、じゃあ、どうすればいいの?という話ですよね。

 

もうお分かりかと思いますが、私が声を大にしておすすめしたいのは、ずばり「手びねり」から始めることです。「えー、でも地味そう…」なんて言わないでください!騙されたと思って、まずは手びねりをやってみてほしい。

 

実は、手びねりは決して電動ろくろの「下位互換」なんかじゃありません。むしろ、全ての陶芸の基礎が詰まった、最高のトレーニングジムなんです。ここで土とじっくり向き合う経験こそが、後々あなたが電動ろくろに挑戦する時に、とてつもなく大きな武器になります。遠回りに見えて、実はこれが一番の近道。断言します。

土の声を聴く練習「手びねり」のすすめ

手びねりの一番の効能は、なんと言っても「土の性格を理解できる」ことです。
電動ろくろという機械を介さず、自分の手で直接土に触れることで、五感で土を感じることができます。

 

「このくらいの力で押すと、このくらい伸びるんだな」
「あ、ちょっと乾いてきたから、ヒビが入りやすくなってきた」
「この土は粘りが強いから、細いパーツも作りやすいぞ」

 

こんな風に、土の一つ一つの表情や声が、ダイレクトに伝わってくるんです。これは、いわば土との「コミュニケーション能力」を養うトレーニング。この土との対話経験が、めちゃくちゃ大事。この感覚を身体で覚えておくと、いざ電動ろくろに座った時に、「あ、今、土がこうして欲しがってるな」というのが、なんとなくわかるようになるんです。土殺しの時の力加減も、成形の時の指の湿らせ方も、全て手びねりで培った「土との信頼関係」がベースになります。機械の向こう側にいる「土」という生き物の気持ちがわかるようになる。これこそが、手びねりがくれる最大のプレゼントです。

失敗さえも「味」になる手びねりの魔法

もう一つ、手びねりの素晴らしいところは、精神的にすごく楽なことです。
というのも、手びねりには「完璧な失敗」というものが、あまり存在しないから。
電動ろくろの失敗は、さっきも言ったように、一瞬で形が崩壊する悲劇的なものです。ゼロか100か、みたいなところがある。でも、手びねりは違います。

 

例えば、ひも作りでちょっと歪んだお茶碗ができたとします。でも、その歪みは「失敗」ではなく、世界に一つだけの「個性」や「味」になります。むしろ、そのいびつさが愛おしかったりする。「ああ、ここの部分、ちょっと力が入っちゃったんだな」なんて、作った時の自分の手の動きが思い出せるようで、なんだか温かい気持ちになりませんか?指紋が残っていたっていい。

 

少し厚ぼったくたっていい。それが、手作りならではの魅力なんです。この「失敗を許容してくれる」優しさが、初心者の心をものすごく楽にしてくれます。「うまく作らなきゃ」というプレッシャーから解放されて、純粋に土をこねる楽しさ、形を作る喜びに集中できる。この成功体験が、「陶芸って楽しい!」という気持ちを育ててくれるんです。

手びねりで身につく感覚こそ、電動ろくろ上達の近道

ここまで読んでくださった方は、もうお気づきかもしれませんね。
そう、手びねりで土とじっくり向き合うことは、決して遠回りなんかじゃない。むしろ、電動ろくろを最速でマスターするための、最高の準備運動なんです。

 

手びねりで「土の気持ち」がわかるようになる。
手びねりで「自分の作りたい形」を三次元で捉える感覚が養われる。
手びねりで「陶芸って楽しい!」というポジティブな気持ちが育つ。

 

この3つの土台がしっかりできていれば、いざ電動ろくろに挑戦した時の吸収率が、もう全然違います。先生の言っていることの意味がスッと理解できるし、土がどうして言うことを聞かないのか、その原因も自分で考えられるようになる。いきなり電動ろくろから始めて「なんで!?」「むずかしい!」と10回つまずくところを、手びねりを経由すれば、2、3回のつまずきで乗り越えられるようになるイメージです。焦る必要なんて、どこにもないんですよ。

それでも私は電動ろくろがやりたい!初心者が挑戦する際の心構えとコツ

とはいえ!
「理屈はわかった。でも、それでも私は、あのくるくる回る電動ろくろがやりたいんだ!」
という熱い情熱を持った方も、もちろんいると思います。素晴らしい!その気持ち、すごく大事です。やりたいことをやるのが一番です。

 

そんなあなたのために、もし初心者のうちから電動ろくろに挑戦するなら、これだけは押さえておいてほしい、という心構えとコツをお伝えします。これを意識するだけで、挫折率はぐっと下げられるはず。あなたの「やりたい!」という気持ちを、全力で応援しますよ!

「電動ろくろ体験」から始めてみるという賢い選択

いきなり本格的なコースに申し込むのは、ちょっと待ってください。
もしあなたが「とにかく一度、電動ろくろに触ってみたい」という気持ちなら、まずは1日完結の「陶芸体験」や「電動ろくろ体験」に参加してみるのが、一番賢い選択です。

 

体験コースのいいところは、先生がつきっきりで、手取り足取り教えてくれること。多くの場合、一番難しい「土殺し」は先生がやってくれたり、うまくいかなくても先生が魔法のように修正してくれたりします(笑)。だから、純粋に「土が伸びていく感覚」という、電動ろくろの一番おいしい部分だけを味わうことができるんです。

 

そこで一度、あの遠心力に振り回されてみてください。そして、自分の作品(の残骸)を見て、「うわ、本当に難しいんだな…!」と実感するもよし、「でも、なんか楽しいかも!」と感じるもよし。その上で、「やっぱりじっくり手びねりから始めよう」とか、「この難しさが面白い!本格的に習いたい!」と、次のステップを考えればいいんです。まずは一度、お試しで触れてみる。それだけで、自分に合っているかどうかが見えてきますよ。

先生選びが9割!マンツーマンに近い教室を探そう

もし、体験を経て「本格的に電動ろくろを習うぞ!」と決意したなら、次にやるべき最も重要なことは「教室選び」です。はっきり言って、電動ろくろの上達は、先生で9割決まります。

 

探してほしいのは、なるべく少人数制で、先生が一人ひとりをじっくり見てくれる教室です。生徒が10人いるのに先生が1人しかいない、なんて教室だと、先生に質問したくてもできなかったり、自分の番が回ってくるまでずっと待っていたり…なんてことになりかねません。

 

理想は、先生が隣に座って、あなたの手にそっと自分の手を重ねて、「このくらいの力加減ですよ」「指はこの角度で」と、感覚を直接伝えてくれるような指導をしてくれるところ。言葉だけでは絶対に伝わらない、あの絶妙なタッチを、身体で教えてくれる先生に出会えれば、上達スピードは爆発的に上がります。教室のウェブサイトを見たり、見学に行ったりして、指導のスタイルをしっかりチェックしてください。「初心者歓迎」と書いてあっても、その「歓迎」の仕方は教室によって全然違いますからね。

完璧を求めない勇気を持とう!最初の目標は「湯呑み」で十分

最後に、一番大切な心構えです。
それは、「最初から完璧なものを作ろうとしない」こと。

 

憧れは、シュッとしたビアグラスや、繊細なパスタ皿かもしれません。でも、最初からそんな大物や難易度の高いものに挑戦するのは、無謀というもの。まずは、小さくて、単純な形のものから始めましょう。具体的には「湯呑み」や「ぐい呑み」がおすすめです。

 

なぜなら、小さい器は使う土の量が少ないのでコントロールしやすく、高さも出さなくていいので遠心力の影響も受けにくいから。まずはこの「湯呑み」を、安定して1個作れるようになることを目標にしましょう。ぐにゃぐにゃになったっていいんです。底が抜けちゃったっていいんです。最初の10個くらいは、粘土の塊をただ回す練習だと思ってください。目標は「綺麗な器を作ること」ではなく、「土と遠心力に慣れること」。

 

このくらいハードルを下げておけば、いちいち落ち込まずに済みます。「今日は昨日より3秒長く形を保てた!」それだけで、100点満点のはなまるです!その小さな成功体験の積み重ねが、やがて大きな自信に繋がっていきますから。

まとめ 焦らないで大丈夫。あなただけのペースで土と仲良くなろう

 

ここまで長い時間、私の陶芸愛あふれる(?)おしゃべりにお付き合いいただき、本当にありがとうございます。

 

「初心者が電動ろくろを使うのは早い」というキーワードから始まりましたが、どうでしたか?電動ろくろへのハードルが少し下がりましたか?それとも、逆に手びねりの魅力に気づいて、そっちをやってみたくなりましたか?

 

どちらの気持ちになったとしても、それがあなたの「正解」です。
この記事で私が一番伝えたかったのは、電動ろくろがダメだとか、手びねりが最高だとか、そういう優劣の話ではありません。ただ、「陶芸を楽しむための道は、一つじゃないよ」ということです。いきなり電動ろくろに挑戦して、その難しさに「私には才能がないんだ…」と諦めてしまうのが、一番もったいない。そうなる前に、土とじっくり対話できる手びねりという、もう一つの素晴らしい世界があることを知っておいてほしかったんです。

 

陶芸の本当の楽しさは、完成した器の美しさだけではありません。ひんやりと湿った土の感触。自分の手の中で、ただの塊が少しずつ形を変えていく驚き。無心で土に触れているうちに、日々の悩みやストレスがすーっと消えていくような、あの穏やかな時間。その全てが、陶芸がくれる最高の贈り物です。

 

電動ろくろは、あくまでその楽しみを広げるための一つの「道具」。焦って手に入れる必要なんてありません。まずはあなたのペースで、あなたなりのやり方で、土と仲良くなることから始めてみてください。それが、結果的に一番の近道になるはずです。あなたの陶芸ライフが、最高に楽しく、豊かなものになることを、心から応援しています!