「定年後の人生、何しよう…」なんて、もしあなたが少しでも感じているなら、ぜひこのまま読み進めてください。結論から言います。老後の趣味に陶芸、これ、最高です。ただの暇つぶし?とんでもない!土をこね、形作り、世界に一つだけの作品を生み出すこの時間は、あなたの残りの人生を、信じられないくらい豊かで、色鮮やかなものに変えてくれます。
私自身、定年退職してしばらくは、まるで抜け殻でした。やることがないって、こんなに辛いものか…と。そんな時に出会ったのが陶芸だったんです。正直、最初は「泥んこ遊びでしょ?」くらいにしか思っていませんでした。でも、ひんやりとした土に触れた瞬間、何かが変わったんです。無心で土と向き合う時間、思うようにいかないもどかしさ、そして、窯から出てきた自分の作品と対面した時の、あの胸が震えるような感動…!
この記事では、私が実際に体験した陶芸の魅力、始める前の不安(不器用でも大丈夫?お金は?)、そして陶芸がもたらしてくれた予想外の喜びまで、包み隠さず全部お話しします。難しそうな専門知識は一切なし。これから陶芸を始めたいあなたの背中を、私が思いっきり押してみせますから!この記事を読み終える頃には、きっと近所の陶芸教室を検索しているはずですよ。
まさか私が、こんなに何かに夢中になるなんて思ってもいませんでした。会社員時代は仕事一筋。趣味なんて考えたこともなかった。だから定年退職した日、カレンダーから予定が真っ白になったのを見て、正直ゾッとしたんです。「明日から、俺は何をすればいいんだ?」って。そんな私が、今では「次の窯焚きはいつだっけ?」なんてソワソワしているんですから、人生って本当に面白いものですよね。陶芸は、ただの趣味じゃありません。私にとっては、第二の人生を照らしてくれた、太陽みたいな存在なんです。
定年後の数ヶ月間は、本当に手持ち無沙汰でした。朝起きても行く場所がない。長年連れ添った妻は、彼女のペースで楽しそうにやっている。なんだか自分だけが社会から取り残されたような、あの独特の寂しさ…。わかる人、いますよね?「何か始めなきゃ」という焦りだけが募る毎日でした。ゴルフ?いや、今さらなあ。登山?体力に自信がない…。そんな風にウジウジしていたある日、ポストに入っていた一枚のチラシが目に留まったんです。「初心者歓迎!陶芸一日体験教室」。
「陶芸かあ…渋いな」。それが第一印象でした。正直、全く興味がなかった。でも、妻に「家にゴロゴロしてるくらいなら、泥でもこねてきたら?」と背中を押され(というか、尻を叩かれ)、まあ話のタネにでもなれば、くらいの軽い気持ちで体験教室に申し込んだんです。これが、私の人生の転機でした。教室のドアを開けると、ツンと土の匂いがして。エプロンを借りて、先生に言われるがままに土の塊を渡されて…その土に、指をぐっと押し込んだ瞬間です。
「うわ、なにこれ、気持ちいい…!」
ひんやりとして、しっとりとして、ずっしりと重い。生きているみたいな感触。その感覚に、なんだか心を鷲掴みにされてしまったんです。そこからはもう夢中でした。もちろん、最初は全然うまくいきません。湯呑みを作ろうとしたら、ぐにゃりと歪んで、ただの不安定な土の筒が出来上がっただけ。でも、それがなぜか、めちゃくちゃ楽しかった!仕事みたいに結果を求められない。
失敗したって誰にも怒られない。ただ、目の前の土と対話する。この時間が、たまらなく愛おしく感じられたんです。その日のうちに、私は教室への入会を決めていました。あれから5年。今では我が家の食器棚は、私の作った不格好だけど愛しい器たちで溢れています。あの時、あのチラシを手に取って、本当によかった。心からそう思います。
「無心になる」って、言葉で言うのは簡単ですけど、実際に体験するのはすごく難しいことだと思いませんか?現役時代は、常に仕事のことが頭のどこかにありました。定年後は、今度は将来のお金のことや健康のこと、尽きない心配事がぐるぐると…。頭の中が、いつもザワザワしている感じ。でも、陶芸教室でろくろの前に座り、土に触れている間だけは、そのザワザワが嘘みたいにスッと消えるんです。
電動ろくろが「ウィーン」と静かな音を立てて回り始めると、もう周りの音は聞こえなくなります。自分の呼吸と、土が手に吸い付く感覚だけ。土の中心を見つけて、親指を沈めて、ゆっくりと壁を立ち上げていく…。この一連の作業には、ものすごい集中力が必要なんです。ちょっとでも気を抜くと、遠心力に負けて形はあっという間に崩れてしまう。まさに、土と自分の一対一の真剣勝負。でも、この緊張感がたまらない!
もちろん、失敗なんて日常茶飯事です。いい感じに伸びてきた!と思った瞬間に、ぐにゃり。ああ、またやっちゃった…って、最初はがっかりするんですけどね。でも最近は、その失敗すら楽しめるようになってきました。「お、そうくるか。じゃあこの歪み、あえて活かしてみるか?」なんて、土と会話するような感覚。完璧なシンメトリーの器なんて、お店で買えばいいんです。
自分の手から生まれる、ちょっと不格好なくらいがちょうどいい。そう思えるようになったら、なんだか肩の力が抜けて、生きるのがすごく楽になりました。この「無心になれる時間」は、何物にも代えがたい、私にとって最高の贅沢。忙しい毎日を送っている人、頭の中がごちゃごちゃな人ほど、一度この感覚を味わってみてほしい。本当に、世界が変わって見えますから。
ここまで私の陶芸愛を語ってきましたが、「いやいや、口で言うほど簡単じゃないでしょ」と思っている方もきっと多いはず。ええ、わかります。私も始める前はそうでしたから。「不器用な自分にできるのか?」「道具とか揃えるのお金がかかりそう…」「変な教室に入っちゃったらどうしよう」なんて、不安だらけでした。ここでは、そんなかつての私と同じような疑問を抱えているあなたのために、私の体験談から正直にお答えしていきたいと思います!
はい、この質問、めちゃくちゃよく聞かれます。そして私は、声を大にして、何度でも言いたい。
「全く問題ありません!断言します!」
なぜなら、この私が証明ですから。私は自他共に認める超絶不器用人間です。図工の成績はずっと「2」。プラモデルを作れば接着剤で指がくっつき、日曜大工をやれば棚は必ず傾く。そんな人間です。
だから、初めて陶芸教室で作った作品なんて、もう目も当てられない代物でしたよ。一応、「お茶碗を作ってみましょう」というお題だったんですが、出来上がったのは…なんだろう、火星のクレーター?みたいな謎の物体。厚みはバラバラだし、縁はガタガタ。先生に「これは…なかなか独創的ですね!」と、最大限のオブラートに包んだ言葉で褒め(?)られました。ええ、わかってます。先生、気を遣ってくれてありがとう…。
でもね、それでいいんです!最初はみんなそんなもんです。教室には、私みたいなおじさんもいれば、おしゃれな若い女性も、元気な主婦の方もいますけど、みんな最初は土の塊と格闘しています。先生が本当に丁寧に、「親指はこう添えて」「力はこっちの方向に」と手取り足取り教えてくれます。それに、陶芸の世界には「味」という最強の魔法の言葉があるんですよ。ちょっと歪んでしまった?「いや、これが手作りの味だよね」。色が思ったように出なかった?「渋くていい味が出てるじゃない」。もう、なんでもアリです(笑)。完璧な、寸分の狂いもない器を作りたいなら、それは職人さんの領域。私たちは、趣味で楽しむんですから。自分の手で、土の塊が「器のようなもの」に変わっていく、その過程そのものを楽しめばいいんです。センスなんて、後からついてくるもの。まずは、粘土遊びをする子供の頃に戻ったつもりで、楽しむ気持ちさえあれば、誰だって大丈夫ですよ!
これも、心配になりますよね。陶芸って聞くと、なんだか高尚な趣味で、自宅にろくろや、果ては「窯」までないとダメなんじゃないか…みたいなイメージ、ありません?私もそう思ってました。結論から言うと、これも全く心配いりません!むしろ、最初は絶対に何も買っちゃダメです。
なぜなら、陶芸教室に通えば、必要な道具はぜーんぶ貸してくれるからです。電動ろくろはもちろん、土をこねる台、形を整える「コテ」や「カンナ」といった専門的な道具、エプロンに至るまで、手ぶらで行っても大丈夫なところがほとんど。自分で用意するのは、せいぜい汚れてもいいタオルくらいなものです。かかる費用は、基本的に月謝だけ。私の通っている教室は、週1回・月4回のコースで1万円ちょっと。この中に、土代や、作品を焼く「焼成費」も含まれています。
考えてみてください。週に一回、2〜3時間、集中して物作りに没頭できて、先生に教えてもらえて、仲間とのおしゃべりも楽しめて、最終的には自分の作品まで手に入る。これで月1万円って、結構コスパ良くないですか?飲み会に2〜3回行ったら、あっという間に消えちゃう金額です。そう考えたら、すごく健全で、自分への投資にもなる有意義なお金の使い方だと私は思っています。
もちろん、どっぷりハマって「家でもやりたい!」となれば、道具を少しずつ揃えていくのも楽しいです。でも、それはずっと先の話。特に「窯」!あれはもう、完全に沼です。設置場所も電気代も大変なことになるので、本気でプロを目指す人以外は手を出さない方が賢明です(笑)。まずは気軽に、身一つで教室の門を叩いてみる。それで十分すぎるほど、陶芸の世界は楽しめます。だから、お金の心配はしないで、まずは一歩を踏み出してみてください。
さあ、だんだん「ちょっとやってみようかな」という気になってきましたか?だとしたら嬉しい!でも、ここで焦ってはいけません。最後の関門、それが「教室選び」です。これを間違うと、せっかくのやる気が萎んでしまう可能性も…。そうならないために、私の失敗談も交えつつ、教室選びのリアルなポイントをお伝えしますね。
まず、絶対にやってほしいのが「体験入学」あるいは「見学」です。これはマスト。ウェブサイトやパンフレットの綺麗な写真だけ見て決めるのは、絶対にダメ!なぜなら、一番大事なのは「雰囲気」だからです。先生との相性、他の生徒さんたちの空気感、教室の広さや清潔感…。こればっかりは、実際に行ってみないとわかりません。
私が最初に体験に行った教室は、なんだかすごくピリピリしてたんですよね…。先生は有名な作家さんらしくて、生徒さんたちもプロを目指しているような方が多くて。「趣味で楽しみたい」なんて言える雰囲気じゃなかった。完全に場違いな感じで、1時間でヘトヘトになりました。あぶない、あぶない。
次に訪れたのが、今通っている教室です。そこはもう、ドアを開けた瞬間から雰囲気が全然違いました。生徒さんたちが和気あいあいとおしゃべりしながら作業していて、先生も「あら、いらっしゃい!お茶でも飲んでく?」みたいな気さくな方で。体験でろくろを回した時も、隣に座っていたおじいちゃんが「兄ちゃん、最初はそんなもんよ!ワシなんか半年はまともな形にならんかったわ!」なんて笑い飛ばしてくれて。その一言で、「あ、ここなら楽しく続けられそうだ」って直感的に思ったんです。そういう「人」との出会いが、実は一番大事だったりするんですよね。
なので、見学や体験に行ったら、ぜひこんな点をチェックしてみてください。
・先生は丁寧に教えてくれそうか?質問しやすい雰囲気か?
・他の生徒さんたちは楽しそうか?(これ、超重要!)
・教室は窮屈じゃないか?設備は綺麗に手入れされているか?
・作れる作品の自由度はどれくらいか?(カリキュラムがきっちり決まっているところもあれば、自由制作がメインのところもあります)
・月謝以外にかかる費用(土代や焼成費が別料金の場合も)は明確か?
いくつか回ってみて、自分が「心地いいな」と感じる場所を選ぶのが一番です。焦らず、じっくり、自分にぴったりの「居場所」を見つけてくださいね。
陶芸を始めた目的は、正直に言うと「定年後の暇つぶし」でした。でも、続けていくうちに、土をこねて器を作るという行為そのものの楽しさ以外に、たくさんの予想外の「オマケ」がついてきたんです。それは、私の日常を、そして人間関係を、より温かく、豊かなものにしてくれる、本当に嬉しい副産物でした。もし陶芸を始めようか迷っているなら、この「オマケ」の話も、ぜひ判断材料にしてみてください。
これ、想像してみてください。朝起きて、自分で作ったお茶碗で炊きたてのご飯を食べる。自分で作ったお椀で、湯気の立つお味噌汁をすする。自分で作った小皿に、妻が作ってくれた卵焼きが乗っている…。なんということでしょう!いつもの朝食が、まるで高級旅館の朝食みたいに(ちょっと大げさか?)、特別で、ありがたいものに感じられるんです。
本当に不思議なんですけど、自分で作った器で食べると、なんでも3割増しくらいで美味しく感じるんですよね。これはもう、プラシーボ効果とかじゃなくて、事実です(私調べ)。ちょっと歪んでて持ちにくかろうが、釉薬の色がまだらだろうが、関係ない。窯から出てきたばかりの、まだ温かい器を手に取った時の感動。そこに料理が盛られた時の高揚感。こればっかりは、どんなに高いブランド食器を買っても味わえない、作り手だけの特権です。
家族からの反応も、嬉しいオマケの一つ。最初は「また変なもの作ってきた…」と呆れ顔だった娘が、ある日「このお皿、煮物にちょうどいいね!お父さん、すごいじゃん!」なんて言ってくれた日には、もう、ねえ。天にも昇る気持ちでしたよ。思わず「だろ!?この青色出すのに苦労したんだぞ!」なんて、得意げに語っちゃったりして。
最近では、友人の還暦祝いに、名前を入れたビアカップをプレゼントするのが恒例になっています。これがまた、めちゃくちゃ喜ばれるんです。「え、これ〇〇が作ったの!?すげー!」って。世界に一つしかない、手作りのプレゼント。お金では買えない価値が、そこにはあるんですよね。自分の作ったものが、誰かの生活の一部になって、喜んでもらえる。こんなに嬉しいことって、ありますか?ただの土くれが、食卓を彩り、人と人との繋がりを温かくしてくれる。陶芸って、本当に奥が深いです。
会社員時代、私の人間関係は、まあ言ってしまえば利害関係で成り立っていました。上司、部下、取引先…。もちろん、その中にも良い関係はありましたが、どこか鎧を着ているような、素の自分とは違う自分でいるような感覚が常にありました。定年退職して、その肩書がなくなった時、ふと「利害関係なしで話せる友人って、何人いるんだろう?」と考えて、少し寂しくなったのを覚えています。
そんな私に、新しい「宝物」をくれたのも、陶芸でした。それが、「陶芸仲間」の存在です。私の通う教室には、本当に色々な人がいます。私のような定年後のおじさんグループはもちろん、子育てが一段落した主婦の方、仕事帰りに通う若いOLさん、中には美大を目指しているという学生さんまで。普段の生活をしていたら、絶対に交わることのなかったであろう人たちが、「陶芸が好き」という、たった一つの共通点だけで集まっているんです。
そこには、年齢も、性別も、過去の経歴も一切関係ありません。話題の中心はいつも陶芸のこと。「〇〇さん、この釉薬の色、どうやって出したの?」「先生、この形、どうもうまくいかないんだけど…」「次の窯焚き、楽しみだねえ!」。作品が焼き上がれば、みんなで集まって「おおー!」「いい色!」「ちょっと歪んだけど、味があるね!」なんて、自分のことのように喜び、批評し合う。まるで、高校の文化祭の準備をしているような、あの青臭い一体感。この歳になって、また青春が味わえるなんて、思ってもみませんでした。
会社を辞めて失ったと思っていた「居場所」が、こんなところにありました。いや、会社という組織に属していた時よりも、もっとずっと居心地のいい場所かもしれません。損得勘定なしで笑い合える仲間がいる。自分の作ったものを、素直に「いいね」と言ってくれる人がいる。この繋がりが、今の私の生活に、どれだけの張り合いと温かさを与えてくれていることか。陶芸は一人で黙々とやるものだと思っていましたが、とんでもない。最高のコミュニケーションツールだったんです。
さて、ここまで私の陶芸への愛を、暑苦しいくらいに語ってきました。少しは「面白そうかも…」と思っていただけたでしょうか?もし、ほんの少しでもあなたの心が動いたのなら、これ以上迷っている時間はありません。人生は有限です。新しい世界の扉は、すぐそこにあります。でも、何から始めたらいいかわからない…そんなあなたのために、最後にもう一度だけ、私の背中を押させてください。
色々と考えすぎて、動けなくなっていませんか?「入会したら、続けられるだろうか…」「やっぱり自分には向いてないかも…」。わかります、その気持ち。でもね、そんな心配は、実際に土に触れてからすればいいんです。だから、まずやるべきことはたった一つ。近所の「陶芸一日体験教室」に、今すぐ申し込むこと!これだけです。
考えてみてください。体験教室なら、費用はだいたい3,000円〜5,000円くらい。たったそれだけの金額で、数時間、非日常の世界に没入できるんです。もし、「うーん、やっぱり合わないな」と思ったら、それでやめればいい。たったそれだけのこと。失うものはランチ数回分のお金くらいなものです。でも、もし、私のように「うわ、何これ、楽しい!」ってなったら?あなたの残りの人生が、キラキラと輝き出すきっかけになるかもしれない。そう考えたら、これほどコスパのいい自己投資って、他にありますか?
体験教室では、だいたい「手びねり」か「電動ろくろ」を選べます。初心者さんには、粘土遊びの延長で自由に形を作れる「手びねり」がおすすめかもしれません。でも、あの「ウィーン」と回るろくろに憧れがあるなら、迷わず「電動ろくろ」に挑戦しちゃいましょう!先生がしっかりサポートしてくれるので、大丈夫。ぐにゃぐにゃになっても、それはそれで最高の思い出になりますから。
さあ、今すぐスマホかパソコンで、「老後 趣味 陶芸 体験 〇〇(あなたの住んでいる地域名)」と検索してみてください。きっと、たくさんの教室が見つかるはずです。大丈夫、怖がることは何もありません。そこには、新しい出会いと、子供の頃に忘れてしまった「夢中になる楽しさ」が待っています。さあ、一歩踏み出して、童心に帰って思いっきり泥んこ遊びを楽しんできてください!
ここまで長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。私の陶芸への熱量、少しは伝わりましたでしょうか。定年後の時間を持て余し、社会から切り離されたような孤独を感じていた私が、陶芸と出会ったことで、人生がどれだけ色鮮やかになったか。それは、ただの趣味という言葉では片付けられない、まさに「魔法」のような体験でした。
ひんやりとした土の感触が、日々の雑念を吸い取ってくれる癒やしの時間。思うようにいかないもどかしさも、完成した時の達成感も、すべてが心を豊かにしてくれます。不器用だって、センスがなくたって、全く問題ありませんでした。教室に行けば、道具も仲間も、そして丁寧に教えてくれる先生もいます。かかる費用だって、飲み会を少し我慢すれば捻出できる程度。始めるためのハードルなんて、実はほとんどなかったんです。
そして何より、陶芸は予想外のプレゼントをたくさんくれました。自分で作った器で食べるご飯の美味しさ。それを家族が喜んでくれる誇らしさ。そして、世代を超えて「陶芸」という共通言語で笑い合える、かけがえのない仲間たち。これらは、お金では決して買うことのできない、私の人生の宝物です。
もし、あなたが今の生活に何か一つ、彩りを加えたいと思っているなら。何か新しいことに挑戦してみたいと、心のどこかで感じているなら。どうか騙されたと思って、一度、土に触れてみてください。あなたの手の中で、ただの土くれが形を変えていくように、あなたの人生もまた、温かくて、味わい深い「作品」に変わっていくかもしれません。その最初の一歩を踏み出すのは、他の誰でもない、あなた自身です。近所の教室を覗いてみる、その小さな勇気が、大きな変化の始まりになることを、私は心から願っています。